公募展「老いるほど若くなる」 最後の展示に向け松本市美術館で搬入始まる

松本市美術館(松本市中央4)が主催し、70歳以上を対象とした公募展「老いるほど若くなる」が26日に同館で開幕するのを前に、出展作品の搬入作業が11日に始まった。10回の節目で最終回ともなる今回は、規定を満たした応募作品全てを無審査で展示する「アンデパンダン形式」を採り、全国から水彩画や油彩画、日本画などさまざまなジャンルの絵画約300点が寄せられた。
平成16(2004)年に始まった公募展は、感染症禍での中断を挟みながら、およそ隔年で開催されてきた。全10回の応募作品総数は4654点に上る。
初日は約200点(配達分含む)が同館に持ち込まれた。岩原真寿美さん(81)=塩尻市=は「今回が最後だと聞いて、一念発起して出した。前々から出したいと思っていた作品展に出せてよかった」と笑顔を見せた。初期に出展して以来だという市川博子さん(84)=安曇野市=は「年齢を感じさせない前衛的な作品が多く、刺激を受けていた」と振り返る。2回目の出展となる上條誠さん(77)=同=は「今回で終わってしまうのは残念」と話した。
信州の思い出を描いた作品を持ち込んだ人もいる。愛知県瀬戸市の西川裕通さん(78)は高校生の頃、北アルプスの奥穂高岳に登ったことを懐かしみながら、その風景を描いたといい「せっかくなら松本の風景を飾りたいと思って」と話した。
13日まで搬入作業が行われる。公募展の会期は6月1日まで。担当の学芸員・原澤知也さんは「今回は家族や旅行先、身近な風景を描いたものが目立つ印象。一生懸命描いた力作を多くの人に見てほしい」と願っている。