2025.4.12 みすず野
小紙に過日、平成10年に撮影されたJR南松本駅舎の写真が載った。暮らしにプラス面で連載中のコーナー「トキタビ│まつもと時間旅行│」で紹介されていた。迎えを待つ人たちだろうか。夜のとばりに包まれた駅舎の前で、数人が立っている構図だった。写真に見入っているうちに、いるはずのない自分の姿が浮かんできた◆南松本駅の近くに友人が住んでいて、一緒に同駅をよく利用したのは中学生のころ。時代は平成ではなく、昭和。だから厳密に見れば、いろいろと変化しているのだろうけれど...。写真で見られた光景は、筆者の記憶の中にある当時の駅舎前を想起させるのに十分だった。友人と過ごした楽しい時間がよみがえった◆一葉の写真の力をあらためて思う。まさに、時を旅する。すっかり疎遠となっている、友人に連絡を取りたくなった。何でもいい。また、たわいのない会話や思い出話がしたい◆現代は、いつも持ち歩くスマホで、気軽に写真が撮れる。ずっと先の将来、今このときに旅して来られるように、折々にシャッターを切っておこう。今は何でもない一枚が、宝物の一枚になる日が来るかもしれないから。