穂高陶芸会館の灯油窯を更新 容量2割増しに 需要に対応

安曇野市は、穂高の市穂高陶芸会館で作品の焼成に使っている灯油窯を新しくした。以前の窯は導入から35年以上が経過して老朽化が進み、作品の生焼けなど不具合が発生していた。新しい窯は容量が2割増で一度に焼成できる作品の数が増えるため、人気が高まっている一般体験や同会館を拠点に活動している穂高陶芸クラブなどの需要に応える。
同会館は昭和58(1983)年3月に開館した。当初は小さなガス窯だったが、体験希望者が増えて間に合わなくなり、体験室の南側に窯場を新設して灯油窯を導入した。
灯油窯はこれまで1000回ほど使ってきたが、老朽化で内側の耐熱れんがにゆがみが出たり、バーナーに不具合が生じたりしたという。更新事業費は約800万円となる。同会館で陶芸講師を25年間務めている嶋田好貴さん=穂高=は「窯には『癖』があるので少しずつ慣らしていきたい」と見据える。
穂高陶芸クラブの定員は人気の高まりを背景に定員を毎年少しずつ増やしてきた。本年度の定員は昨年度より3人多い85人で、同会館は「やめる人より新しくやりたいという人が多い」とする。
同クラブ運営委員の吉田雅子さん=松本市梓川倭=は「設備が充実するのはとってもうれしい。仕事や子育てが一段落して陶芸を楽しみたいという人の集まり。きっと良い作品ができる」と、窯の更新を喜んでいた。
陶芸体験の人気は高まっており、年間で県内外の約1000人が利用している。企業の社員旅行、小中学校の修学旅行、公民館やシニアクラブの活動などさまざまに活用されている。利用がピークだった新型コロナウイルス禍直前の水準に戻っているという。