安曇野市で子どもの権利条例制定へ 議員発議 市会9月定例会で 理念、市の責務を明記

安曇野市議会が、子どもの権利条例を議員提案で制定する準備を進めている。福祉教育委員会が検討した素々案によると、子どもの権利や市の責務などを定めた理念的な条例で、市議会9月定例会での制定を目指す。実効性を担保する具体的な施策は別途、市教育委員会に提言する。
素々案では、自分らしく生きる、保護されるといった子どもの権利や、権利保障に向けた市の責務、市民の役割などを明記。子どもの権利の日の設置や、安曇野の自然や伝統文化に触れる機会の確保も定めた。
市教委には、子どもの意見を市政に反映させる組織「子どもまちづくり委員会」(仮称)の開催や、権利侵害の救済機関の設置検討を提言する。
同委員会は令和5年秋から条例の検討を行い、松本市などの先進地視察や各種団体との意見交換を重ねてきた。
市議会が昨夏に市内の子どもを対象に実施した意識調査によると、「自分が好きではない」と思う中学生は25・0%で4人に1人、悩みを相談する場について「一つも知らない」と答えた小学生(高学年)は33・1%と3人に1人の割合だった。
全議員が参加した8日の会議では「施策を入れた条文で実効性を担保すべき」との声がある一方「子どもの権利は分かっているようで分かっていないことも多い。理念的な条例でも意識を変えるきっかけになる」との意見も出た。増田望三郎委員長は「肝は子どもの主体性を取り戻すこと。安曇野で育って良かったと思えるような取り組みにしたい」と話す。
市議会は近く市教委と意見交換して素案にし、5月25日に市役所で市民説明会を開催。意見公募(パブリックコメント)も経て条例案を固める。議員発議による条例制定は、平成25(2013)年6月制定の議会基本条例以来となる。