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備蓄米の流通本格化へ 県内は10日から小売店販売

精米工場へ運び込まれた備蓄米

 米の価格高騰を受け、政府が放出した備蓄米の流通が、松本地域でも本格化する。JA全農長野(長野市)は7日、JA全農(東京)が3月中旬の初回入札で落札したうち、県内に配分・保管していた玄米を精米工場へ運び込む作業を報道機関に公開した。スーパーなど県内小売店での販売は10日から始まるという。備蓄米の流通は品薄の解消や価格の安定につながるのか。関係者や消費者が注目している。

 全農は3月10~12日の入札で9割以上となる約13万3000トンを落札。全農長野は、令和5、6年に収穫された県産を含む複数産地、銘柄の備蓄米7000トン強を県内外の民間倉庫に収容する。
 県民に安心して購入してもらう狙いで7日、トラックで保管倉庫から搬出された備蓄米を県内の精米工場では初めて荷受けする様子を公開した。いずれも県産の「コシヒカリ」と「風さやか」約12トン、精米5トン換算で2200袋分の玄米を、検査責任者らが目視や成分分析計などで、異物混入の有無や水分量、品質などを確認し、「張り込み」と呼ばれる原料投入口に次々と流し込んでいた。
 全農長野によると、7000トン強のうち、県内各卸売会社より要望のあった約1000トンが、複数銘柄や産地を混ぜたブレンド米として県内の小売店をはじめ弁当製造など業務用にも出荷される。6000トン強が県外卸売会社を通じ、市場に流通する。
 全農長野の池田吉隆米穀課長は価格見通しについて「備蓄米放出は一時的に市場へ供給する量を増やす政策。一般的にマーケットのメカニズムが働けば、取引価格の上昇に歯止めがかかる可能性が高いとみている」と話した。
 4人の子を育て毎日1升近くを炊くという安曇野市豊科の自営業・女性(47)は「国民食の急激な値上がりや品薄はたまらない。米農家の所得も守られる値段に落ち着いてほしい」と願った。