安曇野市内で主食用米の増産の動きも 続く品薄感の中、安定供給へ 加工用米の生産抑制で調整

県内有数の米どころ、安曇野市で米の育苗が始まった。米不足の影響で、農家の手元にある令和6年産米の在庫量は例年より少ないとみられる。加工用米の栽培を減らして主食用米を増産するなど、生産計画を柔軟に見直す動きも出始めている。
大型農家の宮澤ファーム(三郷明盛)は1日、コシヒカリの種まきを始めた。今年は米不足解消のため酒米の生産を若干抑え、自社販売の主食用米を1割ほど増やす計画だ。購入希望の問い合わせが相次ぎ、1人当たりの購買量も多いため、昨年産米の在庫量に余裕はないという。取締役の宮澤和芳さん(40)は「現状の価格高騰は異常。消費者の米離れにつながらないか心配だ」と話す。
米の品薄感は市内でも続き、直売施設によっては開店前に行列ができる。米農家は新米に切り替わるまで安定して供給できるよう、量を絞りながら出荷している。市農政課によると、加工用や輸出用の米の生産量を多少抑え、需要の高い主食用の配分を増やす傾向が散見されるという。
政府は備蓄米21万トンを放出する予定だが、相場が落ち着くかは見通せない。肥料や資材の値上がりに見合った価格で推移してほしい、と願う農家は多い。宮澤さんもその一人で、「天候が安定しない中でも品質の良いものを作るのが農家の使命。安定的に生産したい」と種をまきながら話していた。