連載・特集

2025.4.19 みすず野

 新入生がこの時期、覚えるものの一つに校歌がある。入学後、行事があるごとに歌われるから、メロディーはもう耳になじんだころかもしれない。頭の柔らかい若い皆さんは、歌詞を何も見ずに空で歌えるようになるまで、そう時間はかからないだろう◆郷土の歌人・窪田空穂(1877~1967)は生涯で16校もの校歌の作詞を手掛けた。松本市内だと、空穂自身の母校の和田小学校(芝沢小学校の前身)はじめ島立小、高綱中、菅野中の計4校。なくなってしまった和田小の校歌は「筑摩平野の中央の/山はるかなるわが郷土」と歌い出される。「中央の」の文言に母校愛を感じる◆専修大学付属高校(東京都)の歌詞は、空穂と塩尻市出身の仏文学者・詩人の吉江喬松(孤雁)、飯田市出身の英文学者・詩人の日夏耿之介の共作である。3人の共通点は、信州出身に加えて、早稲田大学の教壇に立ったこと。ちなみに作曲は山田耕筰による◆まだ素直で在学中いつもまじめに歌っていたせいか、小学校の校歌は今でも口ずさめる。中学校以降となると...。高校の校歌は、野球で甲子園の常連校なら、ずっと覚えていられるのになぁ。