連載・特集

2025.4.17 みすず野

 ウィリアム・ワイラー監督の映画「ローマの休日」は昭和28(1953)年に制作された。オードリー・ヘップバーン演じる王女が公務を抜け、グレゴリー・ペックの新聞記者と恋に落ちる。何年たっても人気は衰えない◆武蔵大教授の北村紗衣さんは「これまでの批評が実は男子文化だった、というところに立脚」(『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』ちくま文庫)しているというフェミニスト批評で「ローマの休日」を批評。王女が非常に魅力的で女性の憧れになっているが「この映画は少々男性に都合の良い映画」だと◆記者は偶然プリンセスを道で拾い、スクープになると考えて共に行動。王女に振り回されているうちに彼女に引かれ相思相愛に。けれど記者はスクープを諦め、王女も社会的責任で愛を諦めるが「男性のプリンセスに対する憧れが窺える展開ではある」と◆映画ファンのうわさだとこの映画は新聞記者にとても人気で同じ立場に身を置き楽しんでいる男性がいるようだと。初めて見たのは高校生の時。何度見てもいいと思うが北村さんは言う。「なんだ、やっぱり男性もプリンセスに憧れているんじゃないですか!」。