式年遷宮へ杣の技 学ぶ 伊勢神宮の御用材伐採 伝統の三ツ紐伐り練習 王滝の国有林

伊勢神宮の社殿を20年に一度造りかえる「式年遷宮」で使う木材を伐採する際の技法「三ツ紐伐り」の練習会が14日、王滝村の国有林で開かれた。伐倒方法を継承する木曽地域と岐阜県中津川市の保存会、神宮営林部の計32人が参加。御用材を上松町の国有林から切り出す祭事「御杣始祭」が6月3日に迫る中、おのを使った伝統的な伐採技術の最終確認に励んだ。
「三ツ紐伐り」は3人が木の中心部に向けて3方向からおのを入れて伐倒する伝統的な技法で、作業を安全に行い、木材の割れも少ない利点があるといい、「三ツ緒伐り」とも呼ばれる。この日は、おのを入れる位置や角度など一つ一つの動作を声を掛け合いながら確認し、1時間半ほどかけて木曽ヒノキ3本を切り倒した。伐倒した木の先端を切り、切り株に差し込んで一礼し、山の神に感謝をささげた。
中部森林管理局と木曽森林管理署が、樹齢150~300年の3本を「技術継承木」として提供した。一帯は、かつて帝室林野局(現宮内庁、林野庁)が、伊勢神宮の式年遷宮用のヒノキを安定的に供給するために設定した区域「神宮備林」だった。
練習会を主催した木曽奉賛会の山田弘会長は「杣の方たちが20年間にわたって技術を継承してくださっている。素晴らしい祭事になるように備えたい」と話していた。