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熊出没の抑止に緩衝帯が効果 奉仕団体・樹楽会 安曇野市の烏川河川敷で雑木林を伐採 見通し良く

樹楽会の活動で見通しが良くなった烏川橋の上流部

  安曇野市で里山整備に取り組むボランティア団体・あづみの樹楽会が、穂高牧と穂高柏原の烏川で熊の出没を防ぐ緩衝帯の整備を始めて2年目になる。本年度は市内全体で熊の目撃情報が相次いだ一方で、山麓線の烏川橋上流部で河川敷の雑木林を伐採して見通しを良くしたところ、橋の下流部では熊の目撃情報がなく、成果が出始めているようだ。
 

  熊が人里に侵入するのは河川を利用することが多いと言われており、荒れた雑木林を伐採して緩衝帯をつくることで熊の警戒心を高める狙いがある。
 活動は、国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区の渓流連絡橋から烏川橋までの両岸約400メートル区間で行っている。令和5年度から3年計画で12~3月に取り組んでおり、これまでに約120メートル区間でニセアカシアやカワヤナギなどの支障木を伐採してきた。
 国土交通省や県安曇野建設事務所、市などが協力しており、本年度の県地域発元気づくり支援金の対象事業にもなっている。樹楽会と同公園、市民などが協働で取り組む「さとやま楽校・里山再生教室」の活動にも一部取り入れ、里山整備の裾野を広げている。
 市によると、市内で本年度に確認された熊の目撃情報は74件だった。昨年度より17件多く、近年では多い方だという。このうち集落内での目撃が56件を占めている。烏川橋の下流部で目撃情報がなかったことについて、耕地林務課は「刈り払いの効果があったのではないか」とみる。
 今年から緩衝帯の活動に参加している看護師で山岳ガイドの道辻有希さん(47)=穂高=は「近年、熊に遭遇するリスクが高まっている。緩衝帯づくりは市民生活に密接しているので意義があり、この活動に参加できてよかった」と充実した笑顔で話していた。