政治・経済

予約制乗り合いバス・のるーと松本 利用者確保が鍵 4月から寿・梓川で本格運行

昨年5月、梓川地区の交差点で利用促進をPRする住民有志、市職員ら

 松本市は、4月に本格運行を開始するAI(人工知能)を活用した予約制乗り合いバス「のるーと松本」の運用方針を策定した。寿エリア(寿、寿台、松原の3地区)と梓川地区で、令和5年10月から実証運行をした結果を踏まえての本格運行となる。本格運行への目安とした1日の乗車人数50人(収支率20%)が引き続き運用方針に盛り込まれ、安定した利用者の確保が課題となる。

 運行状況の検証は5年ごとに定め、半期時点(令和9年9月)で中間検証を行う。市公共交通課は「今後も利用状況を注視する」としており、利用者が目安を下回る状況が長く続けば検証の時期を問わず運行を見直す可能性もある。
 寿エリアは、実証期間中の昨年7~9月の乗車人数は1日平均52.2人で目標を達成した。梓川地区は同期間1日平均41.7人で目標を下回ったが、8月後半から増加傾向で、9月は58.1人に達したことを踏まえて本格運行に踏み切った。
 実証運行の期間中は両地区の町会連合会や利用促進会、地元有志が積極的にPR活動を展開した。両地区の役員は「安定して運行するためには本格運行後も相当な努力が必要なのでは」と心配する。
 方針には安定運行を実現するため、ヘビーユーザー(週2回以上の利用者)と登録者数の安定的な増加が盛り込まれた。実証運行期間中の運賃は一律300円だったが、4月から小学生と障害者は100円、中学生と高校生は200円の割引運賃が適用される。市公共交通課の大塚友宏課長は「割引運賃をPRして新たな利用者を確保し、安定運行につなげたい」と話した。
 のるーと松本は、乗りたい時に電話やスマートフォンアプリ、LINEから予約すると、他の利用者と乗り合って希望する目的地まで移動できる。予約に応じてAIが割り出した経路で運行するため、決まった運行ルートやダイヤはない。