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ギャラリー三代澤5周年 「民芸の町松本」に欠かせない存在に

5周年を迎えたギャラリー三代澤。デザイン性豊かな作品が来館者を魅了している

 松本の民芸運動に尽力した松本市出身の型絵染作家・三代澤本寿(1909~2002)の作品を公開するギャラリー三代澤(松本市中央2)が開館5周年を迎えた。中町通りに立つ蔵造りの建物2階で、市民有志がボランティアで運営する。国内外から年間4000人ほどが訪れ「民芸の町松本」に欠かせない存在となった。

 令和2年3月、三代澤ゆかりのカレー店「デリー」だった建物に開設された。市の登録文化財第1号でもある明治期の建築物で、太いはりが支える空間に作品が映える。
 顕彰団体「m.motoju会」のメンバーが交代で常駐し、来館者を迎える。開館から3年間は新型コロナウイルス禍と重なり、休館を余儀なくされた時期もあったが「作品の魅力を多くの人に伝えたい」との思いで維持してきた。
 高いデザイン性に驚き、展示替えのたびに四国や広島から繰り返し訪れるようになった人もいるという。ファンの輪は全国に広がり、年賀状や展示案内を発送する人は100人に上る。千葉県から5年前に松本市に移住した田中香代子さん(72)もギャラリーを訪れて作品に引き込まれた一人で、昨年9月に会に加わった。「松本の宝、と言える作家だと思う」と語り、来館者にさらに魅力を伝えられるように熱心に学びを深める。
 会代表の三代澤保水さん(77)は「お客さんが喜んで見てくれるのが励み。お客さんと私たちは一心同体」と話し、多くの支えで5年の節目を迎えられたことを喜んでいる。
 5周年を記念し、3月末までは、個人所蔵の10点を初めて飾っている。人気作品「白山とエーデルワイス」をあしらった記念の絵はがきも作った。5月21日から市美術館で作品展を開く。