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ありがとう松本パルコ 「街の誇り」市民が涙の別れ

松本パルコのたくさんのファンが駆け付けた閉店セレモニー。広告写真家・白鳥真太郎さんの撮影が行われた(午後8時23分)

 松本のファッションや文化の発信地だった松本パルコ(松本市中央1)は最終日となった28日、朝から大勢の市民が訪れた。午前中から店内も周辺も休日のような人出に。午後には学校帰りの高校生ら若者も訪れ、1990年代の最盛期を思い出すようなにぎわいを見せた。「松本にパルコがあるのが自慢だった」と涙ぐむ女性も。訪れた人たちは「街の誇りだった松本パルコ」の最後を見届け、別れを告げた。

 4階の紳士服飾店タケオキクチの店長・矢嶋佑子さんは、19歳の時にパルコで働き始めて20年目になる。長野市の常連の男性客から花束が届き、「お客さまに恵まれた。閉店の実感はないが、出勤しなくなり、パルコの看板が撤去されたらしんみりするかな」と寂しげだった。
 1階の服飾店トミーヒルフィガーでは市内梓川の会社員・丸山賢治さんが、店員と会話を弾ませた。「今までありがとう」と店員に商品のTシャツを購入して贈り「お任せで服を選んでもらっていた。職場が変わっても元気でいて」と店員たちの今後を気遣った。
 安曇野市穂高有明の主婦・耳塚千江子さんと、茅野市の主婦・島立久枝さんは近所の「ママ友仲間」として付き合い始め、住む場所が離れてからはパルコで待ち合わせして「デート」した。「楽しい思い出がいっぱい」と懐かしんだ。
 市民有志による「ありがとう松本パルコ実行委員会」が6階で開いたパーティーは元店員らが集い、さながら同窓会のような雰囲気となった。塩尻市片丘の会社員・小松雅光さん(39)はパルコの店舗でアルバイトした時に同僚だった妻と結婚し、2女に恵まれた。「家族も仲間もパルコでできた」と誇らしげな表情を見せた。
 閉店セレモニーは、公園通り側のパルコ周辺をぎっしりと人が埋めた。斉藤博一店長が感謝の言葉を述べると大きな拍手が沸き起こっり、入り口の幕が下ろされると「パルコ、パルコ」というコールが起こった。