松本パルコが閉店 市民が惜しむ

松本市の中心街で若者のファッションや文化をけん引し、40年にわたって松本のシンボルとして市民に親しまれた松本パルコ(松本市中央1)が28日、営業を終了した。最後の一瞬まで、多くの人の心を引き、市民の誇りであり続けた。多くの来店客が別れを惜しみ、店舗関係者らに感謝の言葉を贈った。
午前10時の開店に合わせてオリジナルロゴを刻印した木製ハンガーが配られ、伊勢町側の入り口には開店前に約320人の待機列ができた。来店客はお目当てのショップを訪れ、パルコでの「最後の買い物」を楽しんだ。思い出話に花が咲き、涙を浮かべる人もいた。店内では最終日に合わせ、別れを告げる「フェアウェルパーティー」や、松本市出身のダンサー・アオイヤマダさんらのパフォーマンスがあり、最終日の雰囲気を盛り上げた。
閉店時間の午後8時を過ぎると閉店セレモニーが始まった。松本市出身の写真家・白鳥真太郎さんによる記念撮影で40年の最後の一コマを笑顔で飾った。斉藤博一店長らスタッフ10人が公園通り側入り口に並び、斉藤店長が「パルコの中でこれほど客との絆が強く、愛してもらった店はない。この40年はかけがえのない財産になった」と感謝の言葉を述べた。花時計公園を埋め尽くした人からは幾度となく「ありがとう!」と声が上がった。
午前8時から開店待ちの列に並んだ塩尻市片丘の会社員・横山裕樹さん(53)は「特別感のある場所がなくなり悲しいが、今は"お疲れさまでした"と伝えたい」と話した。
1日からはテナントの撤収作業が始まる。パルコの後利用を巡っては商業コンサルティングのやまき(東京都)による商業施設の再オープン計画があり、関係者間で詰めの調整が行われている。