連載・特集

2025.3.8 みすず野

 フクジュソウの花の便りに、春の訪れを感じる。厳寒が長引いた今季の天候で、どこも開花は例年より遅めのよう。どちらかというと、派手ではない。でも、艶のある鮮やかな黄色の花びらは、何とも言えず美しい。積もった雪の合間から、顔をのぞかせる力強さに元気をもらう◆百科事典を開いてみる。多数の園芸品種があり白色花や花弁の細いもの、大輪咲きもあるそうだ。目を楽しませるだけでなく、薬効もあり根茎と根は強心剤、利尿剤にされるという。ヨーロッパ産のセイヨウフクジュソウは赤い花をつけ、循環器系の病気の治療に用いられるジギタリスの代用として薬用にする―とも教わる◆松本市会田の県自然観察インストラクター・横内文人さんが著した、植物図鑑『松本平の植物2021』もひもといてみた。「Adonis ramose」という学名だと分かった。学名は、ギリシャ神話の登場者にちなむとの説明も載る◆きょう、松本市赤怒田(四賀地区)の群生地で「福寿草まつり2025」が開幕する。まつりの実行委員会によると、見頃は今月中旬以降になりそうだ。愛らしい花に、癒やされに行きましょう。