連載・特集

2025.3.14 みすず野

 「薬草店の幸せなテーブルから」という副題の付いた『風の飲みもの、光のおやつ』(萩尾エリ子、永易理恵著、扶桑社)を書店でパラパラ見ていたら、三角フラスコに一輪挿しのように花を生けて並べた写真に目がとまった。こういう使い方があったのかと思い購入した◆小学校の理科の実験器具はフラスコのようなガラス製が多かった。ビーカーやシャーレ、広口瓶、メスシリンダーなどが理科準備室という部屋に並んでいた。中でも試験管立てに並んだ試験管は、きれいに磨かれて光っていたのを思い出す◆フラスコには丸底のものもあったが、三角フラスコの形に引かれた。ガラスの実験器具を集めてみたいというのが、あの頃の夢の一つだったと思い出す。白衣姿の理科の教師がアルコールランプとビーカーでコーヒーを入れている様子を何かで見たが、それは憧れなかった◆机の上のフラスコはホームセンターで見つけ喜んで買い求めたが、使い方を見いだせずそのままに。写真は当たり前のように生えている野の花を挿している。水を入れたフラスコは別の何かのように鈍く輝いている。もうすぐ訪れる花の季節の楽しみができた。