2025.3.11 みすず野
福島県の福島第一原子力発電所の南30キロ~80キロに位置するいわき市で、大越章子さんは「日々の新聞」を月2回発行している。平成15(2003)年の創刊前年に、小紙と交流のある地元の「いわき民報」を同僚とともに退社。現在も変わらぬ2人だけの新聞がスタートした◆福島と能登の震災後を生きる13人を取材した『フクシマ、能登、そしてこれから』(婦人之友社)が紹介している。著者は福島県の地元紙記者を経て、ジャーナリストとして活動。昨年日本外国特派員協会の報道の自由賞を受賞した藍原寛子さん◆大越さんは取材者と生活者の視点から「なぜ原発事故が起きてしまったのか」をいつも念頭に置き人々の不安と「知りたい」に応え続けているという。「地域、地域でその土地に根ざしたジャーナリズムがあるのがいい」といい「これからもその声を取材し、代弁し、伝えていきたい」と◆藍原さんは「原発事故の被害とそのリスクにおいて、被災した人としなかった人との線引きは全く意味がありません。チェルノブイリやスリーマイルの被災者と私たちは同じ地球に生きている」と語る。同書発行日は「3月11日」だ。