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「時差式」導入で右折に苦労 「まつもと道路交通考」改良ファイル③松本城交差点

 市民タイムスの企画報道「まつもと道路交通考」には、読者の皆さんから多くの投稿をいただいています。道路利用者や地域の生活者の視点で率直な意見が多く寄せられています。その一部を要約して掲載します。投稿に基づく道路の危険箇所や渋滞箇所なども「改良ファイル」として紹介します。

 松本市の国宝・松本城の南側にある丁字路の松本城交差点は、昨年11月18日に東西方向の信号が、東に向かう方の青信号の時間が西側より長い時差式に変更された。以前よりは改善されたものの「右折しづらい」という指摘が複数寄せられている。
 同交差点は都市計画道路・内環状北線(外堀大通り)が令和5年7月10日に開通し、それまで西方向への一方通行だった道が対面通行になり、西から南に右折するための右折レーンが設けられた。
 当初は時差式信号でなかったため、東側から直進車が黄信号で通過すると、西側から右折できないことが頻発した。この交差点は歩車分離式で、東西側車道の信号が赤になると歩行者用信号が青になり、観光客など歩行者が一斉に渡り始めるため、右折車が交差点内で立ち往生した。
 松本市が道路利用者からの苦情を受けて警察に相談し、信号が時差式に変更された。時差は基本5秒と設定されている。
 ただ、時差式信号は対向車が停止するまで「対向車側が赤信号でこちら側のみ青信号」になっていることを確認できない。対向車が交差点に接近している場面で信号が切り替わると、停止するまでに数秒かかり、「時差」の効果を発揮できないことがある。このため「右折矢印信号があればいいのに」という声は多い。
 県警によると時差式信号は一方の右折交通量が著しく多い交差点に設置する。松本城交差点は丁字路のため双方に右折矢印信号を付けることができず、一方向にだけ矢印信号を設置すると運転者の混乱を招くことになり、できないという。