教育・子育て

フリースクール利用料 松本市が新年度から補助 不登校の子供を支援

学校へ行けなかったり社会に一歩踏み出せなかったりする若者を温かく迎え入れている十色。多様な居場所づくりへの行政の支援が欠かせない

 松本市は新年度から、フリースクールを利用する不登校の児童・生徒の保護者への利用料補助に取り組む。県が本年度始めた「信州型フリースクール認証制度」に合わせた事業で、認証施設に通う子供を支援する。市立小中学校の不登校数は昨年9月時点で441人と前年同期比で32人増加しており、補助を通して多様な学びの場の確保を図っていく。
 フリースクールは、不登校の児童・生徒に居場所や学習機会を提供している施設で、民営や公営などさまざまなタイプがある。▽静かに過ごしたい▽交流を求めている▽学習を深めたい―などのケースに応じて選べる。
 県の制度では「居場所支援型」と「学び支援型」の2種類に分類されており、昨年末までに、居場所支援で12カ所、学習支援で25カ所の計37カ所が認証されている。
 市の補助は、県内他市町村の施設を利用した場合でも活用できる。月額利用料の2分の1(最高1万5000円)を補助する。県内他市の事例などを参考に30人ほどの利用を見込み、新年度一般会計当初予算案に関連費用540万円を計上した。市学校教育課は「子供たちが自分に合った場所に通えるよう支援していきたい」と話している。
 フリースクールの中には利用料を徴収していない施設もあるが、県の制度には運営経費にかかる補助金メニューもある。経済情勢や利用家庭の状況に配慮して、平成30(2018)年5月の開所から利用料を徴収せずに運営してきた「フリースペース十色(といろ)」(松本市原)の三村慶子代表は「十色は自分のペースで過ごしたい10~20代の思春期世代の若者が通っている。彼らの居場所をなくさないためにも、制度の活用も考えていきたい」と話している。