安曇野市が新年度に空き家を調査 実数を把握へ 国推計値との差を精査

安曇野市は新年度、市内の空き家戸数の実態調査を行う。市が把握する戸建ての空き家は昨年末時点で1024戸だが、総務省の住宅・土地統計調査(令和5年)の推計値は3150戸で、約2000戸の差がある。外観がきれいなまま放置された「隠れ空き家」を捕捉しきれていないため、実態をより正確に把握して効果的な対策につなげる。
庁内の地理情報システム(GIS)にある市内全ての戸建て住宅から水道使用がない物件を洗い出し、現地調査をして空き家かどうかを判定する。傷み具合なども調べて危険度を4ランクに分ける。業者への調査委託費1164万円を新年度一般会計当初予算案に計上した。
市は平成30(2018)年度に市職員や区への聞き取りで把握した空き家1143戸をリスト化。それ以降は1000戸前後を捕捉していたが、年間で150件を超える近隣住民の苦情では未把握の物件も出てきている。
市は新年度に空き家の戸数、危険度を把握し直した後、所有者に意向調査を行い、必要な対策の検討に役立てる。市移住定住推進課の担当者は「国の推計値との差約2000件は看過できない。空き家の『予備群』を含め、今後の対応を考えてもらうきっかけづくりとして周知したい」としている。
市の移住相談では、戸建ての空き家に関心を持つ人が多く、特に賃貸物件のニーズは高い。しかし空き家バンクの登録物件約50件の多くは売り物件で需給のミスマッチが生じている。また「空き家予備群」になり得る65歳以上の単身・夫婦世帯は計9200世帯に上り、家の管理・活用を考える機運をどう高めるかも課題となっている。