納骨堂の無縁遺骨 収容限界近くに 松本市営蟻ケ崎霊園

松本市営蟻ケ崎霊園(蟻ケ崎4)の無縁墓地にある納骨堂の遺骨の収容が限界に近づいている。少子高齢化や核家族化などの影響で、市民が亡くなった時に遺骨の引き取り手がいないケースが増加している。高齢化がさらに進んで死亡者が増える「多死社会」となる今後、納骨堂や、管理されていない墓の在り方を検討する必要に迫られている。
納骨堂は平成17(2005)年に整備された。23年度までは年間で1桁台の納骨で済んでいたが、24年度に21人の納骨があって以降は20人台で推移し、令和4年度は34人にまで増えた。本年度は1月末までに22人が納骨され、総納骨数は310柱になった。
納骨堂内の棚が埋まってきたことから、市は数年前から骨つぼのサイズを小さくするなどしてスペースの確保に努めてきた。ただ、棚の9割程度が埋まっており、管理する市生活福祉課は「このままだと近く満杯になる恐れがある」と危惧する。
親族がいたり、血縁者がいたりする場合でも引き取り手がいないケースもあるという。市は来年度に「終活情報登録事業」をスタートさせ、遺骨の引き取り先などを生前に示せるようにするなど対策に力を入れる。
市生活福祉課の高野朱見課長は「災害や事故などで突然亡くなることもある。生前に自分自身の死後のことをきちんと考えてほしい」と話し、登録事業の活用を呼び掛けている。