政治・経済

松本市、災害の被害想定分析・各地区にデータ提供へ 防災計画の策定促す

備蓄品が並ぶ市防災物資ターミナル

 松本市は新年度、地域の自助・共助による防災体制づくりを推進するため、市内全35地区ごとの災害時の被害想定データを収集・分析する防災アセスメント事業に取り組む。各地区にデータ(防災カルテ)を提供して防災計画策定への機運を高めてもらうのが狙いで、市全体の防災力アップにつなげる。

 現在は平成27(2015)年3月の「第3次県地震被害想定調査」から避難者数などを算出しているが、10年を経て人口動態や耐震化率が変化していることを踏まえ、新たなデータを基に防災対策を図る。
 災害対策基本法に位置付けられている地区防災計画については、義務ではないものの新村地区や城東地区が策定済みだ。城北地区や安原地区でも策定に向けて取り組みが進められており、能登半島地震をはじめとする災害の発生を受けて、災害発生時に真っ先に機能する自助・共助への関心が高まっている。
 来年度にアセスメント(データの収集・分析)を行った後、市は8年度、最新データを基に市地域防災計画や備蓄計画の大幅見直しに着手する計画。市内64カ所の備蓄倉庫と市防災物資ターミナル(島内)のほか、157の指定避難所にも備蓄ができないかなどを検討する。市危機管理課の伊東伸次課長は「今後、最新のカルテを提供するサイクルを作っていきたい。市民の皆さんに地区計画づくりの機運を高めてもらえれば」と話している。