政治・経済

終活支援で松本市が登録制度 県内初 新年度スタートへ

松本市が登録者に配布する終活情報事業登録証の見本

 松本市は新年度、「終活情報登録事業」をスタートさせる。事業に登録した市民が亡くなったり事故や病気などで意思表示できなくなったりした時に、市が登録を受けて保管している情報を、指定した人や関係機関に開示する。市によると、全国で採用する自治体が増えているが県内では初めて。市は本格運用に向けて準備を進めている。

 市高齢福祉課によると、市内に住む65歳以上の1人暮らしの人は約1万200人で、調査を始めた平成23(2011)年からほぼ倍増している。身寄りがない高齢者が亡くなった時に、市が火葬や埋葬をする事例も増加しており、行政機関による終活支援のニーズが高まっていた。
 今回の事業では、登録を希望する市民が、緊急の連絡先や遺言書などの保管場所、さまざまな契約内容を所定の申請書に記載して市に預ける。万が一の時は一定の条件に従い、市が登録者の情報を指定された人に開示する。携帯電話やインターネット関連のパスワード、銀行口座や保険に関する情報なども自由登録事項として記載できる。市は今後、詳細な事業内容を検討し、来年度の早い時期にスタートさせる。
 全国の自治体では65歳以上の人を対象にするケースが多いが、松本市は高齢者に限らず誰でも登録できるようにする。市は7日の市議会厚生委員協議会で事業を説明した。同課の勝家知子課長は「元気なうちに人生の終末について考えて将来への備えをして、安心して生活してもらえるような事業にしていく」と話している。