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貴重な涅槃図を一斉公開 松本市立博物館が1日から特別展

一辺数メートルの迫力ある涅槃図が多数そろった特別展

 お釈迦様の入滅を表す各地の涅槃図を一堂に紹介する特別展「春を待つ涅槃図」が1日、松本市立博物館で始まる。市内の寺院や自治会が継承する涅槃図17点を初めて一斉に公開するほか、善光寺大勧進(長野市)の涅槃像や開善寺(飯田市)の国重文・八相涅槃図も借り受け、計約30点が集結した。同館が数年前から温め準備してきた、松本でしか見られない仏教美術展だ。

 仏教の教えを誰にでも分かりやすく図示した涅槃図は、お釈迦様を弔う涅槃会で本尊として掲げられる。市内では市歴史文化基本構想の調査で各地の涅槃図が明らかになり、本特別展につながった。
 注目される展示の一つは太陽と月が描かれた「日月二星」の涅槃図だ。全国的に珍しい構図だが、市内で3点が確認され、その全てが公開される。会場では涅槃図の世界をより深く味わってもらおうと、描かれる登場人物も詳細に解説。韋駄天や帝釈天、阿修羅や摩耶夫人のほか入滅を悼む白像や獅子、猿、昆虫や爬虫類など多岐にわたり、つぶさに鑑賞するのも面白い。
 31日には報道機関向けの内覧会があり、担当の前田利惠学芸員は「一点一点に守り次いできた人々の思いや誇りが詰まっている。素晴らしい涅槃図の数々をぜひ目にしてほしい」と話していた。
 1日は午前9時から開幕式典があり、所蔵元の関係者ら約70人が出席する。午後1時半から関連イベント「涅槃図の絵解き」もある。会期は3月3日まで。