地域の話題

明北小4年生 旧国鉄篠ノ井線廃線敷に手作りベンチ 散策者の休憩用に8基設置

電動ドライバーでビスを打ち込む子供たち

 安曇野市の明北小学校4年生16人は31日、総合学習の一環で、明科の観光スポットの一つ、旧国鉄篠ノ井線廃線敷に手作りのベンチを設置した。散策する人の休憩場所がないことに気付いて1学期から準備を重ね、やすり掛けした木材を現地で組み立てた。作業に協力した地元住民も、真心からの地域奉仕を喜んでいる。

山沿いに延びる廃線敷のうち三五山トンネル付近、大天白社付近の2カ所に、4~5人掛けのベンチを計8基設置した。子供たちは電動ドライバーなどの使い方を住民や市の地域おこし協力隊に教わり、和気あいあいとビスを打ったり、接着剤を塗ったりした。中村絢人君(10)は「うまくできた。ベンチで休んで散歩を楽しんでほしい」と話した。
 地域のためにできることを探る中で、子供たちは廃線敷に着目した。約5キロのコースを歩くと、休憩場所が不足していることに気付き、住民にも相談してベンチ作りを決めた。市から地域産材の提供を受け、校内で育てた野菜を売って紙やすりやはけなどを調達。樹皮を剥いだり研磨したりと、下準備を重ねてきた。沖煌真君(10)は「山の自然を味わってもらうため、安曇野の木材をそのまま使ったベンチにこだわった」と話す。
 新緑や紅葉の時期を中心に多くのハイカーが訪れる。廃線敷を整備する地元のボランティア団体「ケヤキの道」の隠岐俊一会長(72)は「この地域は鉄道と住民が一体となって発展してきた。過疎化しているが、役に立とうという気持ちは本当にありがたい」と喜んでいた。