連載・特集

2025.2.16 みすず野

 故郷の松本を大切にしている方だと、話を伺っていて分かった。本筋の話の端々に松本での思い出話が入り込む。フリージャーナリストの川上清市さん(71)=横浜市=を取材した折、誠実な対応の中に、ふるさと愛がにじんだ◆著書は経済関連を中心とした20冊に上る。とかく難しくなりがちな経済の話だが、分かりやすくかみ砕くことを心掛けているという。その姿勢は取材の受け答えでも体現していた。好きな言葉「ハングリーであれ、愚か者であれ」を、背景や言い換えを交えて説明してくれ、理解しやすかった◆松本の話になると、自然に頬が緩んだ。高校時代、帰り道に松本城公園に寄り、思索にふけったこともあると聞き、自身の姿と重なった。筆者の場合、思索にふけるというほどのものではなく、陽気のいい時期に、ベンチに座って天守を眺め、ボーっとしていただけだが...。そんなことも川上さんの話を聞き、懐かしく思いだした◆松本で生まれ育ち、今は遠くに住んでいる人と話すと、松本の良さをあらためて教えられることがある。人柄もあるだろうが同郷の先輩の言葉に素直にうなずけた。傾蓋故の如しであった。