地域の話題

松本市安曇・岩魚留小屋再生プロジェクト始動 宣教師ウェストンも宿泊  県内外の有志が改修計画

プロジェクトの始動を知らせる塩湯さん(右)らメンバー

 松本市安曇の島々から徳本峠を経て上高地に至る登山道・島々明神線上にある山小屋「岩魚留小屋」の復活を目指すプロジェクトが動き出した。近代登山の歴史を伝える貴重な山小屋を残そうと、県内外の山好きが立ち上がった。

 島々に昨春移住した元山小屋支配人・塩湯涼さん(29)=京都府出身=ら県内外の有志6人が進める。計画だと、もともとの建材を生かして宿泊施設として改修する。水回りの整備や残置物の撤去などをして、早ければ来年の着工を目指す。テント泊ができるよう周辺の整地もする。
 市などによると、岩魚留小屋は明治44(1911)年、民間会社・上高地温泉が登山道の中間地点(標高約1300メートル)に創業した。木造平屋約60平方メートルで、日本アルプスを知らしめた英国人宣教師のウォルター・ウェストンも泊まったとされる。12年ほど前の閉業後は老朽化が進む。
 島々明神線はクラシックルートとして愛好されており、塩湯さんは「登山者の安全面を考えても、自分がやらなければと義務感に駆られた」と話す。けがを理由に引退した前オーナーの奥原英考さん(71)=安曇=は「登山客が宿泊できる形で継続してほしかった。希望が見えた」と期待する。
 市も有志の動きを歓迎する。市教育委員会文化財課西部4地区担当の百瀬耕司係長は「歴史的に価値がある。できるところで協力していきたい」と話している。
 今後、小屋復活に向けてインターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)が予定されている。