電動・足こぎカート完成 池工高生と企業 製作4年

池田町の池田工業高校生徒有志と、同校版デュアルシステム研修で協力する企業でつくる「グランメゾン池工ワンチームカート」が製作してきた高齢者向け移動補助機「電動・足こぎ両用カート」が、足かけ4年を費やし完成した。町総合福祉センターやすらぎの郷に置かれ、高齢者に利用してもらう。
カートは車いすに似た形で駆動輪と舵輪の計3輪と補助のキャスターを備える。搭載された12ボルトのバッテリーとモーター、またはペダルによる人力で走行し、左手のレバーで舵やブレーキ、右手のジョイスティックで前進・左右の方向指示器などを操作できる。デュアル研修参加者の生徒が出向先の企業と協力しながら設計し、フレームや歯車など部品から手作りで製造。これまで十数社、延べ50~60人の生徒が関わってきた。
本年度は、松川村のつばくろ電機で研修する電気・情報システム科3年生の片山倖綺さん(17)、北澤寿也さん(18)が関わり、有接点リレーによる制御部を製作。ボタンやスティックの入力でカートがどのように動作するのか、適切な速度や曲がり方など、ユーザーとなる高齢者への対応を考えながら仕上げた。
プロジェクトはデュアルの企業間連携の共同制作第2弾として令和2年に立ち上がった。町社会福祉協議会からの高齢者の課題解決として、高齢者が気軽に利用でき脚力の維持につながるものとして、電動と足こぎを両立させた他にない製品を作り上げた。取り組みは県社協の表彰を受けるなど注目された。
片山さんは「授業で習ったシーケンス制御を応用して制作していたが、トラブルにも見舞われ試行錯誤しながら形にできてうれしい」と完成を喜んだ。北澤さんは「現場だと悩むこともあったが、企業や先生からアドバイスをもらいながら完成できた。安全にけがなく使っていただけたら」と話した。