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安曇野赤十字病院 ピロリ菌検診を開始 キット活用 自宅で簡単 胃カメラなし

ピロリ菌検診で使う検査キット

  安曇野市豊科の安曇野赤十字病院は、胃がんや胃潰瘍のリスクとなるピロリ菌の感染者を減らそうと、13歳以上を対象に「ピロリ菌検診」を始めた。ハードルが高い胃カメラ検査をせずに単独で有無を調べられるのが特徴で、検査キットを使って自宅でできる。早期に除菌することが胃がんの抑制につながるため、特に若い世代の検診を勧めている。

 同病院によると、ピロリ菌は胃の粘液中に生息する細菌で、人から人へ経口感染し、特に乳幼児期に感染しやすい。成人以降の感染はまれだという。感染していてもほとんどが無症状で、感染で生じる胃炎で胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍が発生しやすくなる。
 ピロリ菌の検査を保険診療で行うには胃カメラ検査が必要で、30~40代の子育て世代から子供の感染を心配して相談されるケースがあった。「子供のうちからできることを広げていきたい」と、単独で検査ができるピロリ菌検診を考えた。
 検診料金は税込み8000円。同病院健診センター窓口で申し込んで検査キットを持ち帰り、自宅で検査後に健診センターに提出する。キットは、呼気を採取バッグに吹き込む尿素呼気試験と、便を採取する便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を併用する。結果は郵送で知らせる。
 ピロリ菌は内服薬で除菌する。除菌すると胃がんの発生や再発を半分から3分の1に減らせるほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発をほぼゼロに抑えることができるという。
 同病院は▽親のピロリ菌が感染していないかどうか心配▽以前除菌したが最近は検査をしていないので心配▽胃バリウム検査で慢性胃炎と診断されて胃カメラを勧められたが断っている―といった人に勧奨している。
 副院長で第一消化器内科部長の中村直医師は「若い人にぜひ勧めたい。ピロリ菌感染の人を減らしたい」と語る。問い合わせは、平日午後1時半~4時半に同病院健康管理センター(電話0263・72・8517)へ。