塩尻市の元県議妻殺害事件 裁判員裁判初公判 丸山被告無罪を主張
令和3年9月、塩尻市塩尻町の自宅兼酒蔵で妻を殺害したとして、殺人の罪で起訴された元県議会議員・丸山大輔被告(50)の裁判員裁判の初公判が16日、長野地裁(坂田正史裁判長)で開かれた。丸山被告は罪状認否で「妻の希美を殺害したのは私ではありません」と全面無罪を主張した。
検察側は冒頭陳述で、丸山被告が事件前夜、車を運転して長野市の議員会館から自宅へ向かい、希美さんを殺害後に議員会館へ戻ったと主張した。出発前、同僚議員に「あすの一般質問の原稿を作る」と告げて自室に入るなど、アリバイ工作を行ったとした。
丸山被告が、別の女性と不倫関係にあったことも明らかにした。一方で、希美さんの実家からは選挙支援を受けるほか多額の借金をしていた。離婚すると借金返済を求められるなどの恐れがあったと指摘し、離婚による不利益を被らずに女性と交際を続けるためには「被害者が死亡する以外に選択肢がなかった」ことが殺害の動機だとした。
弁護側は、丸山被告が同僚議員らとの食事、二次会の後から翌朝まで、議員会館の外で目撃されていないとアリバイを主張した。長野~塩尻市間にある防犯カメラ映像に映っていた不審車両は、ナンバーを読み取ることができず、車体固有の特徴をみても丸山被告の車と同一とはいえないとした。自身の後援会活動や酒造会社経営を切り盛りする希美さんを殺害する動機はなく、丸山被告ではない第三者による犯行の可能性を指摘した。
丸山被告は黒のスーツ、白のワイシャツに落ち着いた青色のネクタイという服装で出廷した。短髪で、逮捕前よりも白髪が目立つようになっていた。公判中は裁判官や検察官の方をしっかりと見据え、時折メモを取る様子もあった。
起訴状によると、丸山被告は令和3年9月29日午前1時44分ころから同3時4分ころまでの間、自宅で殺意をもって何らかの方法で妻の希美さん=当時(47)=の首を圧迫し、窒息死させて殺害したとされる。