田の原湿原 再生に光 木曽・王滝 回復プロジェクト 専門家・施工者が報告
御嶽山の王滝登山口に位置する「田の原湿原」(約2200㍍)の再生プロジェクトに関する講演会が31日、木曽町福島のコワーキングスペース・ふらっと木曽で開かれた。湿原は乾燥化による消失が危ぶまれ、昨年から取り組みが始まった。参加者は現状や課題について考えを深めた。
田の原は枯れた植物の堆積が進み、周囲よりも盛り上がる「高層湿原」となる。現在は大部分がササで覆われ、3畳分ほどの水たまり場に名残が見られる程度だ。再生計画では、湿原周辺にある排水溝がついた登山道などを、雨水が染みこみやすいよう改良。ササの刈り取りも進める。
環境保全活動に取り組むコモンフォレスト・ジャパン(東京都)の理事で、湿原の調査などを行う坂田昌子さんと、王滝村の委託で登山道の工事をするルーツオンタケ(木曽町福島)理事の畠山智明さんが話した。
坂田さんは、堆積する植物として主要なミズゴケを増やすことが重要と指摘。コケの広がる動きをよく見極め、日光や雨を遮るササを刈る大切さを述べた。作業によりコケの増加が見られる箇所もあり、「回復に向け希望はある」と話した。
畠山さんは、地面に石や丸太、わらを敷くなどして水の浸透を促す登山道改良工事を説明した。各地で湿原が消滅しているといい、環境保全の意識を広げていく必要性も話した。「再生計画は中・長期的な活動になる。支えが集まっていい方向に向かっていけたら」と見据えた。
会はルーツオンタケが主催し、オンラインを含め約90人が参加・視聴した。