妊婦・育児中の人をお薦め本で応援 ソトイク・塩尻市立図書館

塩尻市で活動する市民活動団体「ソトイク・プロジェクト」と市立図書館は7月、公募した「お薦め本」をまとめる企画本棚「ソトイク文庫」を図書館内に設けた。棚に置く本に、読んだ人が書き込める特製の「ブックシェアカード」を挟んで貸し出すことで、読後の感想や所感を共有する。孤独や不安を感じがちな妊娠中や育児中の人と地域住民に、本を通じて心の交流を図ってもらう。
ソトイク・プロジェクトは「自分らしく、子育てしやすいまちづくり」を掲げ、育児中の母親が中心になって活動している。企画は、メンバーと図書館の「子育て応援チーム」の職員が薦める蔵書43冊で始め、市民交流センター・えんぱーく内の図書館本館入り口付近と子育て支援センター前に企画本棚を置いた。
ブックシェアカードには、本の推薦者のコメントを印刷し、読んだ人が感想などを書き込める欄がある。しおりのように挟んだまま返却・貸し出しをするため、次に読む人に感想が伝わる。デザイナーでソトイク代表のゴレイコ(本名・北村令子)さん(41)=松本市=が、返却日などを示す図書カードに着想して作った。
本の推薦は専用QRコードからインターネット経由で投稿する。受け付けた投稿数に応じて、シェアカードを挟み、企画本棚に置く本が増えていく。
両者は昨年9~11月に育児中のお勧め本企画を試行した。絵本や育児エッセーだけでなく、家族、女性の生き方、地域社会を考える本も読まれた。司書の北澤梨絵子さんは「育児の間も広く考えたい関心事がある」と感じたという。
大規模改修工事で図書館本館が休館する8日以降は、広丘図書館や各分館を巡回する。ゴレイコさんは「文化を通じて孤独感を解消できたら。思いをリレーし、育児世代がどう感じているか知るきっかけになれば」と話している。