2024.7.7 みすず野
地域の伝統行事を継承する―。当たり前のように感じられる言葉だが、生活様式の変化などから近年、簡単ではなくなっている。準備や当日の手順が分からず困惑するも、誰に教わったらいいかすら分からないといった課題が浮上する◆松本の夏の子供の伝統行事「青山様」「ぼんぼん」も例外ではない。松本市の征矢野町会は課題の解決を目的として過日、地元の小学5、6年生らを対象にした初の事前学習会を開いた。識者や地域に住む高齢者を招いて、行事の由来ややり方を教わった。地域の役員やPTAは、一手間余分にかかって大変だが、妙案だと思った◆高齢者が、ぼんぼんの花かんざしを実際に作り、それを見よう見まねで子供たちが作ってみる。手作業をしている子供たちの様子を見ていると、関心の持ち方に温度差はあったが、なかには目を輝かせていた子供もいた。その目に学習会の成功を感じた◆識者は、生活様式の変化で行事のあり方が変わっていくのは、仕方がないことと説明していた。「途切れさせず続けていくことが伝統」という言葉に、肩の力を抜いて、できることをやっていく大切さを教わった気がした。