2024.7.1 みすず野
この季節の小雨が降るような日、塩尻市北小野の勝弦やチロルの森沿いの道を下ってくると、あちこちできれいに草が刈られたばかりの土手を目にした。草がずいぶん伸びて、土地の所有者や地区の人たちが汗を流したのだろうと思いながら、こちらもさっぱりしたような気分で車を運転したことを思い出す◆土手にはハナショウブだろうか、濃い紫色の花が1輪、雨を受けていたり、赤紫色のホタルブクロが数株、まとまって風に揺れていたりした。これから先の日々だと、ヤブカンゾウのオレンジ色の花も遠くから目に入った。草がない土手に、花がすっくと立つ景色だ◆草刈り作業をしながら見つけた足元で花を付けた植物を切るに忍びなく、細心の注意をはらって残したのだろう。そこに立つのは、花に心をかけた人の姿だ。花の数だけ人の思いが息づいている。そんなことを思いながら、何度も通った道だった◆いきなり能登半島の激震で始まった今年は、きょうから折り返しだ。残り半年、穏やかな日々が続いてほしいと祈るばかり。北小野の土手に、この夏はどんな花が咲いているのだろう。久しぶりに足を延ばしてみたくなった。