生理用品をアプリで提供 松本市役所トイレに機器設置 大量持ち去り防ぐ

松本市は、生理用ナプキンの無料提供サービス「OiTr(オイテル)」を県内で初めて導入した。スマートフォンにアプリをダウンロードし、ナプキンが入ったディスペンサー(機器)に近づけると1枚ずつ出てくる仕組みで、市役所東庁舎2~4階の女子トイレの洋式個室6カ所にディスペンサーを設置した。必要な時に必要な人が確実に利用できる体制を整える。
市は防災備蓄品やチャリティー団体の寄付を活用し、3年度から公共施設などで生理用品を無料提供する取り組みを進めている。現在は173カ所で提供しているが、大量に持ち去られてしまうケースがあり、必要な人に行き届かないことが課題となっている。
市役所のオイテルは3月末に導入。都内の会社・オイテルが運営し、ディスペンサー内のナプキン(最大60個)が少なくなると自動的に会社に通知され、ナプキンが無料で市に送られてくる。会社は、ディスペンサーのデジタルサイネージ広告に出稿する企業の広告費でナプキン代を賄っている。大量の持ち去りを防止するため、1人につき25日ごとに最大7枚を提供。1枚取り出すと、その後2時間は取り出せない。
市は会社と3年間の協定を結んでおり、状況を見ながらその後も利用し続けるか検討する。市の負担は設置工事費13万円のみで、ランニングコストはかかっていない。
サービス開始から5月末までに150個ほどの利用があった。担当の市人権共生課は「女性が抱える身体的・心理的負担の軽減と性差にとらわれない社会づくりへ、サービスの活用を促したい」と話している。