人生の最期どう迎える 塩尻市と塩筑医師会が市版事前指示書作成

塩尻市と塩筑医師会は、延命治療など人生の最終期に受ける医療の希望を書く「市版リビングウィル」(事前指示書)の記入用紙を作成した。本人の意向を尊重できるよう、事前に家族ら親しい人や医療従事者と話し合う「人生会議」を開いて価値観を共有し、書面を作成しておいてもらう。
事前指示書はA3判二つ折り。表紙裏に、「心肺停止状態になった」、「治療をしても回復の見込みがないと判断された」といったケースを想定した医療行為を挙げ、希望の有無を示すチェック欄を設けている。記入日と本人の署名欄、かかりつけ医の記入欄がある。
一般の人たちも分かりやすいよう、延命治療に関する医療用語の解説も掲載している。外出時に持ち歩きできる折りたたみ式の携帯版(A4判)も用意した。
塩筑医師会副会長の椎名裕之医師が中心となり、作成に協力した。今年3月に1500部作成し、本年度に入って1500部を追加して計3000部を用意した。市内の医療機関や歯科医院、薬局、地域包括支援センターのほか、市保健福祉センターで希望者に対面で手渡している。
事前指示書に法的な拘束力はない。ただ、市介護保険課の上野保佐美課長は「大事な場面で周りの家族が判断しないといけないこともある。本人の思いを話し合いや書面で伝えておけば、家族も安心し、本人の尊厳を守ることができる」と語る。
市は人生会議についての講演会を開くとともに、令和元年度から、終活ノートとして家族らに自分の情報やメッセージを残せる「エンディングノート」を作成して、市民への周知を進めている。