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安曇野市の避難所に給水栓 地震時の断水に備え設置進む

市が新設している給水栓(穂高会館)

 安曇野市は、大規模地震が発生しても指定避難所などで断水の心配なく水道水が使えるよう、配水池と対象施設を専用ルートで結ぶ耐震配水管の新設を進めている。その一環で対象施設の屋外に給水栓を設置しており、断水時は近隣住民が安心して水をくめるようにしている。昨年度までの2年間で穂高地域の6カ所、三郷地域の5カ所に設け、目立つ存在になってきた。

 市は平成(2018)年度に、指定避難所などの重要給水施設55カ所を対象として専用ルートの耐震配水管を敷設する事業に着手した。穂高会館、市穂高支所、穂高交流学習センター・みらい、市三郷支所、三郷小学校などで完了した。
 能登半島地震の被災地では発生からおよそ半年がたっても断水が続く地域がある。石川県のまとめだと28日現在で輪島市の約810戸、珠洲市の約1090戸の計1900戸が断水している。長期化の理由について、県は「それだけ被害が大きかった。水道管だけではなく受水施設や浄化施設も壊れてしまった」としている。
 耐震配水管は、その地域で想定されている最大級の地震にも耐えられる構造で、周辺地域が地震で断水になっても重要給水施設では水道水が使える。市上水道課は「専用で管を引っ張っているので避難した人が水には困らない」とする。
 給水栓は消防で使う消火栓と同じ形状をしているが、飲料水のイメージで青色にしている。使う際はホースを接続し、蛇口が4個ある専用の器具をつないで給水する。給水活動に充てるマンパワーが減り、その分を水道施設の調査や修繕に充てられるため、水道インフラの復旧が早まる効果も期待される。
 本年度からは堀金地域で専用ルートの耐震配水管の敷設に取り組む。まずは井戸と配水池を結ぶ導水管の敷設替えを予定する。