政治・経済

精米技術 国際機関に登録 塩尻のカンリウ工業 注力の海外展開さらに

海外向けの製品と藤森社長(左)ら

 農業機械を開発・製造する塩尻市広丘野村のカンリウ工業(藤森秀一社長)の精米技術がこのほど、国際連合工業開発機関(UNIDO)東京事務所のSTePP(サステナブル技術普及プラットフォーム)に認定、登録された。注力する海外展開をさらに進めるためUNIDOに申請していた。開発途上国の持続的な産業開発のために役立つ優れた技術として紹介される。

 同社は近年、もみすり精米機や石抜き機などを、アフリカを中心とした開発途上国の集落向けに販売することに力を入れる。そのため海外で一般的な長粒種の米に対応した精米機を開発した。現地の人たちが修理をしやすいように構造にも工夫している。収穫時などに混入した小石や異物を取り除く石抜き機は、もみの状態で取り除けるようにして長期保管をしやすくした。
 タイのメーカーに生産などを委託することで価格や輸送コストを抑えた。廉価版にすることで購入しやすくなる。現地の農家は高性能な技術で品質の良い米を生産し、高く売れるようになる。同社によると、国によっては農村のコミュニティーに精米機がない地域もあり、農家は離れた場所にある精米所まで運ぶ必要がある。集落単位で普及が進めば、こうした運搬コストも抑えられる。石抜き機が普及すると歯を傷めず安心して食べられるため、農村の食生活改善にもつながるという。
 3代目となる藤森社長は「STePPへの登録により海外への露出度が高くなると期待できる。海外への展開を『第2の創業の柱』と位置付け、創業100周年を迎える来年には売上高を1億円ほどに増やしたい」と話す。国内の農家が高齢化し、後継者も減っている背景もあり、海外展開を強化するが「私たちの精米技術によって、開発途上国の皆さんが、米作りで豊かになってもらいたい」と願っている。