棚田の水位 遠隔で一括管理 県松本地域振興局が麻績で実験

県松本地域振興局(松本市島立)は、水田の水位を遠隔管理できるスマート水管理システム「水田ファーモ」を活用した棚田稲作の省力化実験を、麻績村市野川で進めている。急斜面に連なる水田同士を直接連結して水を回す「田越灌漑」を応用。同システムとの組み合わせで複数の水田の水位を一括管理し、担い手の減少が懸念される中山間地域の稲作の労力を軽減できるか検証する。
水田ファーモは栃木県のITベンチャー企業・farmo(ファーモ)が開発した。水位センサーと給水ゲートのセット(約9万円)で運用すればスマートフォンで手軽に水管理ができる。
通常は大規模農地での使用を想定するが、塩化ビニールパイプ(水路)を棚田の水田の上下をそれぞれ連結するように埋設し水位センサーを最も低い水田に据えることで、複数の水田を一括管理できるのではと着想した。市野川で稲作に取り組む農業団体・OMIMO(おみも)が協力し、県のふるさと信州棚田支援事業の補助金でシステムを導入。水田2枚で実証実験することにした。
田植え後の6月に機器を設置する予定。スマート農業の一つとして成果や課題を他の中山間地域に情報提供したい考えだ。同地域振興局農地整備課の技師・田中日向子さん(27)は「システムは便利だが高価でもある。まとめて管理できれば」と話している。