地域の話題

松本市内の空き家2153戸 目立つ中山間地域

農山村地域の四賀地区。空き家数が全35地区で最も多い

 日常的に人が住んでいないと想定される空き家が松本市内で2153戸に上っていることが、市の調べで分かった。市街地より中山間地域で目立ち、利活用の進み具合に地域差が見られる。人口減少で空き家が増えると予想される中、防災や防犯、景観保全などのため、空き家の発生抑止や利活用に官民が連携して取り組みを強化していく必要がある。

 市は空き家データベース更新のため、令和4年度に独自の調査を実施した。各町会長への聞き取りや現地確認を行い、精度を高めて集計した。
 地区別では四賀が188件で最も多く、安曇157件、波田135件と続く。世帯数と比較すると、奈川(73件)や安曇は空き家の割合が高い。四賀では「子供の高校進学を機に交通の便の良い市街地に引っ越すケースが多い」との声が聞かれる。
 空き家が最も少ない地区は松原で3件、次いで中心街の第一が16件、内田が17件と続く。
 市が毎月開く空き家活用相談会は毎回予約がほぼ埋まる状況で、「空き家をどうにかしたいという所有者の意識は感じる」(移住推進課)。一方、空き家の売買、貸借を仲立ちする市の空き家バンクの年間登録数は昨年度52件で、近年は横ばい傾向だ。住宅課によると、空き家の市場流通は中心市街地で活発だが、合併地区などの中山間地は動きが鈍い傾向が見られる。
 総務省が4月末に発表した住宅・土地統計調査(速報値)によると、県内の昨年10月時点の空き家数は過去最多の20万7000戸。同課は「空き家は間違いなく増える。どんな対策が有効か検証し、法改正も踏まえて対策計画の見直しも検討したい」とする。
 四賀で空き家を活用した移住相談に応じている、東京都出身の塩田朱美さん(57)は「移住者にとって四賀は不便でなく魅力にあふれた所。『何もなく不便』と思う地元出身者との意識差を解消しながら、魅力を発信し続けていきたい」と話している。