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塩尻の旧洗馬学校校舎を模型に 開学150周年記念で企画

製作中の模型を眺める野村さん(右)と設計室のスタッフ

 現在の塩尻市宗賀にあった旧洗馬学校が今年で開学150周年を迎えるのを機に、開校当時の校舎を模型で復活させるプロジェクトが進められている。製作は元大工の野村秀康さん(82)=松本市中山=が担当し、当時の姿を忠実に再現しようと作業を進めている。

 模型は30分の1のスケールで、高さ約50センチ、幅約80センチ、奥行き約40センチの大きさがあり、野村さんが数ミリ角の部材一つ一つを板から切り出して作っている。地元の宗賀地区地域振興協議会が松本市大手5のかわかみ建築設計室に声を掛け、同設計室が当時の写真や立面図を参考に図面を起こし、野村さんに製作を託した。
 野村さんは60歳で大工を引退して以来、松本城(松本市)や旧開智学校(同)など20ほどの模型を手がけてきた。一般的な模型では見過ごされる内部の構造まで忠実に再現するのが野村さんのこだわりだ。一方、洗馬学校は建物の構造についての詳細な資料は無いため、当時の建築様式や大工の気質を反映させ、野村さんが独自に再現している。洗馬学校の設計者が旧開智学校を設計した立石清重(1829~94)であることから、旧開智学校に取り入れられている屋根部分のトラス構造なども模型に採用した。
 野村さんは「資料が少なくこれまで作った模型の中でも特に難しい」と話すが、「気を張っていてはできない仕事。うまく完成させたい」と笑顔を見せいていた。