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安曇野のオオルリシジミの保護に尽力 那須野雅好さんに環境大臣表彰

オオルリシジミのさなぎを放した後、子供に昆虫の説明をする那須野さん(右奥)

 安曇野市に生息する絶滅危惧種のチョウ・オオルリシジミの保護に長年尽くしてきた、三郷昆虫クラブ世話人で同市元職員の那須野雅好さん(64)=安曇野市三郷温=が、本年度の「みどりの日」自然環境功労者として環境大臣表彰を受ける。幅広い関係者が一体となった保護活動を29年にわたって支え、絶滅状態だった「安曇野の象徴」を復活させた。

 子供の時から昆虫を追いかけ研究してきたが、生きたオオルリシジミを見たのは昭和53(1978)年、18歳の時が初めてだった。堀金の山麓で見つけ「恐らく本州最後の生息地になる」との思いで観察を続けた。しかし平成3(1991)年、発生が途絶えた。
 3年後、近くでオオルリシジミが「再発見」された。「よくぞ残っていた」。県内の専門家が集まり対応を協議したのが、保護活動の始まりだ。翌年、幅広い個人団体が連携する対策会議が発足し、以来代表を務める。
 オオルリシジミは、かつて田園環境に適応して生息していた。安曇野の保護活動は、単なる希少種の保全にとどまらず、先人が築いた安曇野の自然や文化の「象徴」として、多様な生き物がすむ環境全体を守ろうとする共通理解で結ばれている。三郷昆虫クラブをはじめ、多数の観察会で、自然への関心を高めてきた取り組みが底流となっている。
 保護区の管理、人工飼育、調査研究など、活動は多岐にわたり、担い手となっている団体・個人は、それぞれの役割を主体的に果たす。「私は調整役にすぎない。大臣表彰なんて皆さんに怒られそう」と恐縮し「たくさんの方々の協力でここまで来られた」と感謝する。保護活動も、子供に生き物の魅力を教える活動も「やめられない」。トレードマークの柔和な笑顔で継続を誓った。
 8日に大臣表彰を受ける。本年度は全国31の個人・団体が対象で、県内からは那須野さん1人が選出された。