地域の話題

乗合バス「のるーと」利用順調 松本市の試験運行半年

梓川エリアで利用者を乗せる乗合バス

 松本市が路線バスのない交通空白地帯を含む梓川、寿の両エリアで試験的に運行している予約型の乗合バス「のるーと松本」が、昨年10月の運行開始から半年を過ぎた。3月の1日当たりの乗車人数は寿が48.8人、梓川は36.6人で、目標の1日50人の水準に近づいている。市公共交通課は「着実に定着してきている。この動きを大事にしたい」とし、6月末までの利用状況を見極めて継続の可否を判断する考えだ。   

 梓川では約200カ所、寿台、松原を含む寿エリアでは約150カ所の乗降ポイントを設定。アプリや電話で乗り場と降り場のポイントを予約すると、時間に合わせてバスが迎えに来て、同じ時間帯の利用者の所を回りながら最短ルートで運ぶ。運賃は一律300円。
 季節変動はあるものの、利用者は徐々に増え、2月の1日平均は寿が40.5人、梓川が45.2人。週平均では50人を超える時もある。梓川上野の女性(93)は、最寄り駅や公民館に行く時に利用するといい「だいたい時間通り来てくれるので使いやすい」と話す。
 3月末時点の利用登録は2725人で、60代以上が約半数を占める。通院や買い物をする1人暮らしの高齢者や、施設入所者、通勤通学者などの利用がある。これまで市は説明会や乗車体験を各エリアで延べ40回ほど開き、周知を進めてきた。
 市は運行継続を判断する一つの目安として、経費に占める運賃収入の割合(収支率)2割に相当する1日50人の利用を設定する。公共交通課は、一定のニーズはあるものの、乗合は十分でなく定員8人のバスには余裕があるとし「まだ伸びしろはある。全世代が認知して初めて定着したと言えるので、まず利用登録をしてほしい」とし、今後の説明会などへの参加を呼びかけている。