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自転車用ヘルメット着用進まず 努力義務化1年で

通学中の高校生にヘルメットの着用を呼び掛けた啓発(昨年4月、松本市)

 昨年4月に自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されてから1年がたった。この間、各自治体や警察などが周知や啓発に注力してきたが、街中を見渡すと未着用の人も多い。地域や属性によって着用率に差がみられ、普及には課題もありそうだ。



 安曇野市が昨年7~9月、市内の駅やスーパーマーケットなどで行った目視による調査では、調査した615人のうち、182人が着用。着用率は29・6%だった。中学生以下の着用率が88・9%に上った一方、高校生が16・7%にとどまるなど、高校生以上は19・4%と低水準だった。
 松本市は昨年度、市内13の高校を通じて1人当たり一律3000円相当のヘルメット購入補助を行い、想定する自転車通学者数の42・8%に当たる2262人の生徒から申請があった。生徒は申請時にヘルメット着用を誓約しており、仮に全員が着用していれば同市内の高校生の着用率は約4割となる。一方、市が昨年5月と10月に中心市街地の大名町通りと松本城の入り口付近を通る自転車を対象に行った全年代調査だと、延べ約2万4000台のうち、着用率は約24%にとどまった。
 それぞれ調査方法が異なるため単純比較はできないものの、着用を指導できる児童・生徒の着用率が高い一方、一般への普及はまだまだと言えそうだ。
 ヘルメットの着用は事故時の生死に直結する。県警によると、平成30(2018)~令和4(2022)年の5年間の統計で、ヘルメット非着用者の致死率は着用者の約2倍だった。松本市自転車推進課の担当者は「目的は着用ではなく、命を守ること」と話し、「自分の命を自分で守る意識を持ってほしい」と呼び掛けた。