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能登被災地で炊き出し 安曇野の有志団体「農家と生きる」 支援継続 片付けも計画

七尾市の御祓地区の避難所で実施した炊き出し(「農家と生きる」提供)

 安曇野市内の農業や飲食業、観光業に携わる有志でつくる団体「農家と生きる」が、能登半島地震の被災地支援に取り組んでいる。1月と2月には石川県七尾市の避難所で炊き出しを2回実施。メンバーそれぞれの人脈を生かし、被災者に温かな食事を届けた。

 「農家と生きる」は一昨年発足し、農業を起点に飲食業や観光業を盛り上げるイベントを手掛けている。1月初旬、メンバーから「これまでの経験を被災地で生かせないか」という声が上がったことから炊き出しを企画。野口雄貴代表が七尾市と調整し、17日に御祓地区で実施することが決まった。
 七尾市から水や衛生用品が不足していると聞いたため、出発前の3日間は物資の寄贈も募った。メンバーそれぞれがSNS(交流サイト)上で呼びかけたところ、水だけで約1500リットルが集まり、2トントラックを含めた車3台の荷台がいっぱいになった。メンバーの大久保のりやさんは「市民の皆さんも何かしたかったんだなと感じた」と話す。
 17日は避難所の駐車場で夜の炊き出しを行い、おむすびやスープ、野沢菜の漬物、焼き菓子などを約150人に振る舞った。コーヒーを提供した島友理奈さんは「『今年初めて飲んだ』『好きだけど飲めてなかった』と喜ばれてよかった。嗜好品も大事だと感じた」と振り返った。
 2回目は2月26日に同じ避難所で実施。安曇野市内を中心とした宿泊施設でつくる「安曇野で暮らすように泊まる実行委員会」(略称・くらとま)がレトルトカレー120食分を寄贈してくれたため、現地で温めてみそ汁や総菜などと一緒に提供した。同日は御祓地域づくり協議会から感謝状も贈られた。
 2回とも参加した大久保さんは「まだまだ北部の方はひどい状態。海側は夏になると匂いも出てくると思うので、3回目は片付けなどを手伝いたい」と構想する。今後も被災地の要望とすり合わせながら、支援活動を継続していく予定だ。
 支援活動に対する募金は、穂高のコワーキングスペース・安曇野さんさんハウスで受け付けている。