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対話アートで多様性実感 カミジョウミカさんと弓指寛治さん披露

共同制作した絵画を披露する弓指さん(左)、カミジョウさん(中)とナナイロの中山さん

 障害や生きづらさを切り口に街中にアートを展示し、多様性を認め合う社会を目指す「対話アートNAGANO WEEK2023」は11日、5カ月間にわたった企画展「ジャンクション」のフィナーレイベントを松本市大手1のマツモトアートセンターで開いた。安曇野市のアーティスト・カミジョウミカさん(47)と東京都の画家・弓指寛治さん(37)がこの間、対話を重ねながら描いた共同作品を披露。参加者全員で鑑賞し、交流した。

 2人は昨年10月から現地に通い、100号のキャンバスを使って共作してきた。完成したのは寄生虫のアニサキスや宿主の海洋生物、目玉などに着想を得た色鮮やかな絵画で、2人で話し合い「目玉がニョロニョロ 胃がベロベロ」と命名した。
 普段自室で作品を制作するカミジョウさんは、開かれた空間で描いた今回について「新鮮で戸惑いもあったが新たな発見もあった。環境が変わって面白かった」。弓指さんは「題材のないまっさらな状態から始め、会話しながら進めた一つの答え」と話し、対話が果たした役割に言及していた。
 イベントでは「ジャンクション」の展示を企画したキュレーター
たちも感想を述べ合い「アートは『人と違っていい』という世界。この視点が福祉でも重視されれば、当たり前に個々は尊ばれるはず」などの意見が出ていた。
 対話アートは市内の一般社団法人ナナイロが昨年度に続いて企画した。中山拓郎代表理事(45)は「今後は県内5、6都市に広げたい。より多様な人が関わり、理解し合う機会になれば」と話していた。
 ジャンクションの展示は28日まで。