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巨大草履 厄災払う 両島で年中行事・お八日念仏と足半

編み上がった巨大な草履の前でわら縄の数珠を回す子供たち

 子供の背丈ほどある大きな草履を編み、集落境に掛けて厄災を払う行事「両島のお八日念仏と足半」が11日、松本市両島で行われた。春を迎え、農耕が始まるのに先立つ年中行事で、360年以上続いているという。新型コロナウイルス禍を経て4年ぶりに両島地区の小学生も参加し、約40人が今年も伝統を継承した。

 両島八日念仏足半草履保存会や鎌田小学校の5、6年生らが鎌田地区公民館に集まり、幅約90センチ、長さ約130センチの足半草履一足と、数珠回しに使う12メートルのわら縄を編んだ。約3時間かけて仕上げると隣接する両島公民館に運び、用意した祭壇の両脇に草履を掛けて車座になった。
 まずは子供たちが、自分たちでなったわら縄の数珠を手に取り、僧侶姿の音頭取りに合わせて念仏を唱えながら回した。年長者たちは同様に木の数珠も回し、終えると南北の集落境に移動して高所に草履を片足ずつ掛けた。
 巨人がいる集落だと見せることで疫病神の侵入を防ぐとされ、市重要無形民俗文化財や国選択無形民俗文化財「松本のコトヨウカ行事」に指定される。
 鎌田小6年の浅輪奏仁君(12)と山田祈和君(12)は「伝統行事が体験できてうれしかった」、保存会の井口幸信会長(67)は「皆の力を結集して行事を伝えていきたい」と話していた。