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南木曽・田立歌舞伎の保存会 信州農村歌舞伎祭に出演へ

「絵本太功記」の場面を稽古する保存会員たち

 南木曽町の田立地区に伝わる町無形文化財・田立歌舞伎の保存会は、県伊那文化会館(伊那市)で25日に開かれる「第15回信州農村歌舞伎祭」に出演する。会員たちは本番へ向けて稽古を仕上げ士気を高めている。

 出演は7年ぶり6回目で、演目は「絵本太功記十段目 尼ケ崎閑居の段」だ。戦国武将・明智光秀が、主君の織田信長を本能寺で討った後に羽柴秀吉に滅ぼされるまでを全十三段で脚色した。十段目は一番のヤマ場とされ、戦の中で母親とわが子を失う光秀の悲劇が描かれる。
 上演時間は1時間半ほどで、会員は昨年9月ころから練習を重ねてきた。本番は黒衣や語りと三味線の義太夫などを含め、会員と地元の小学4、5年生有志3人の計20人で舞台をつくる。
 旧田立小学校体育館でこのほど開いた稽古では、最終調整をした。いくつかの場面を演じて流れを確認し、光秀を基にした主人公・武智光秀役の角野孝男さん(48)は「『泣き』の芝居がポイントで難しい点。本番ではしっかり気持ちを出し演じたい」と力を込めた。
 田立歌舞伎は岐阜県東濃地方から伝わり、300年近い歴史がある。「花馬祭り」で知られる地元の五宮神社例大祭に合わせて主に公演している。林勝利保存会長(72)は「久しぶりの出演で皆、張り切っている」と話し、高齢化などで会員が減少する中「継承していくためにも、まずは舞台で目いっぱい演じ切ってきたい」と意気込んでいる。