連載・特集

2024.2.20 みすず野

 書き出しは「戦争の言葉、と聞いてあなたはどんな語彙を想像しますか?」。『戦争語彙集』(岩波書店)を翻訳した日本文学研究者、ロバート・キャンベルさんが冒頭に置いた「旅立ちの前に」という文章だ◆ウクライナの詩人、オスタップ・スリヴィンスキーさんが、ロシア侵攻後、避難者から聞き取った証言を「バス」「痛み」「通り」「土」「ココア」「地下室」「パン生地」など77の語彙にまとめて出版した本をキャンベルさんが翻訳、文章を加えた◆ロシア侵攻から間もなく2年になり、ウクライナへの支援疲れという言葉が聞かれるようになっているが、戦火が収まる見通しはない。侵攻は途切れることなく続き、今も多くのウクライナの人々が生命を脅かされている。そのことを忘れずにいたい◆キャンベルさんは証言が収録されているうちの一人、ボフダナ・ロマンツォワさんにインタビュー、日本の人々へのメッセージを聞く。彼女は「戦争はあなた方が想像する以上に、身近なものだということです(中略)人間の残虐さと人間の優しさには、限界も無く、国境も無い。私たちは正しい側に立つべきです」と語っている。

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