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県歌「信濃の国」作詞者 浅井洌の未発表作見つかる

寄贈された浅井洌の未発表作品

 県歌「信濃の国」の作詞者として知られる教育者・浅井洌(れつ/きよし、1849~1938)が晩年に残した未発表作がこのほど、浅井の生家である松本市北深志1(北馬場)の大岩家で見つかった。浅井が晩年まで意欲的に創作活動に打ち込んでいたことを示す貴重な資料で、国宝旧開智学校に今月寄贈される運びとなった。

 見つかったのは短冊や半切の和紙などにしたためられた和歌の未発表作など15点。変体仮名や万葉仮名などさまざまな表記を駆使して素朴な自然や心情を描写している。90歳で亡くなる直前の数年間に作られた作品が多いが、いずれもぶれのない明確な筆致で記されている。資料を調べた城北公民館文化部の後藤芳孝さん(75)=北深志1=は「浅井は若い頃から数多くの作品を残したが、その中でも最晩年の作風がわかる貴重な史料」と評価する。
 昨年3月に大岩家の子孫である大岩隆さん(故人)から寄贈の申し出があり、同年8月に急逝した大岩さんの遺志を継いで、娘の新藤昌子さんと大岩晶子さんが寄贈することになった。隆さんの意向で半切に記された作品1点を複製し、地元の城北公民館で掛け軸にして展示する予定だ。小岩井成人館長は「公民館の宝として皆さんに見てもらいたい」と話している。

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